■ ローグライクとは ■ 簡単に言うと、トルネコやシレンに代表される、「不思議のダンジョン」シリーズの原点となったゲームです。 今から数十年前、Unixと一緒に、あるフリーのRPGゲームが配布されていました。 グラフィックなんて当然これっぽっちも無い時代ですから、そのゲームはダンジョン探索型であるにもかかわらず、 主人公キャラクターやモンスター、アイテムに至るまで、何から何まで半角文字のみで表現されていました。 それがすべての原点、Rogue(ローグ)というゲームです。 「一度使うまでほとんどのアイテムはその効果が不明」や、「毎回ダンジョンが変化する」などといった 優れたアイデアが練り込まれたローグは、たくさんの人たちに遊ばれました。 それ以来、Unixプログラムのオープンソース精神に則って、 いろいろな人が様々なローグ亜種(バリアントと呼ぶ)を生み出し、改良を加えてきました。 これらのロー グ系ダンジョン探索型RPGを総称して、「ローグライク」と呼んでいます。 老舗バリアントの「Angband」、広域マップを採用した 「Zangband」、 和風味の「Hengband」、初めてネット型マルチプレイを実現した「Mangband」、 あげくにはSQUARE社の「タクティクス・オウガ」の世界観で作られた「T.O.band」、 その他にも「Omega」や「Dungeon Crawl」、「Net Hack」というものもあります。 これらのほとんどは、グラフィックが発達してきた現代でもローグオリジナルの流れを守り、 基本的には文字と色ですべてを表現しています。 すべてフリーでありながら、それぞれ独特で優れたアイデアが盛りこまれていて、 異常なまでの完成度に仕上がっています。 トルネコの不思議なダンジョンや風来のシレンなどは、 これらにグラフィックと効果音を加え、さらに大幅に難易度を落として、 (トルネコやシレンも十分難しいが、本物のローグライクの比ではない!!!) 遊びやすい形で世に送り出されたバリアントです。 制作者の方も、「ローグライクのおもしろさを世にもっと知ってもらうために、このゲームを作った」 と話しているようです。 彼らもローグライクの大ファンだった、というわけですね。 これを読んで始めてみようかなと思ってくれた人、ここまできてなんですが、 本物のローグライクはとても敷居の高いゲームであると覚悟しておいてください。 多くの人はまず文字だけの画面に面食らいますし、 操作がキーボードをフルに使わなければならない事も苦痛でしょう。 (たとえば、q:薬を飲む、z:魔法棒を振る、E:食事をする、など)。 何よりも「一度死亡するとそれまで」という、あまりに突き放したルールがかなり堪えます。 10分だろうが10時間だろうが100時間だろうが、 一度HPが0を割ったキャラは即座に墓に埋められ、2度と復活することは無いのです。 装備品や集めたアイテムは永遠に失われ、鑑定したアイテム情報は初期化され、 レベルや経験値は0に戻り、キャラクターが生きた痕跡は一瞬にして消え去ります。 当然「セーブしたところからやり直す」なんて概念はありません(「中断」はあります)。 ミスを犯して死ぬか、最後の敵を討ち取って「勝利者」になるか、2つに1つのゲームなのです。 文字と操作と繰り返される絶望の壁を突破できた人は、 そこで初めてこのハードボイルドな世界の面白さに気づくでしょう。 ワンアクションの操作ミスでそれまでの十数時間が無に帰すギリギリのスリルや、 血眼になって見つけた必殺の武器を振るう楽しさ、 そして場合によっては一時間以上も続く集大成の最終決戦。 ここに辿り着くまで粘れる変わり者が、いったいどれほど居るかはなかなか疑問ではありますが・・・。 100回死んで、それでもまだ続けたいと思えたなら、そのときはあなたも立派なローグライク中毒者ですよ。
|
||||